院長の木村です。


今日はわんちゃんの爪切りの仕方の紹介です。

自宅で爪切りをする方やこれからしてみようと思う方はぜひご覧ください。

 

今現在出血していて、焦っている方はまず下記の記事をお読みください。

【獣医師監修】自宅で犬の爪切り中に血が出たらどうしたらいいのか

まとめ

  • なるべく2人で実施する
  • 爪切りはギロチン式・ニッパー式の他に工具のニッパーや棒状のヤスリを準備すると◎
  • 爪は野菜の乱切りのように周囲から削ぎ切りする
  • 出血した際は慌てずに根気良く止血する

 

爪切りの準備

動物を支える助手

慣れないうちはなるべくわんちゃんを支えてくれる助手がいると作業しやすくなります。

助手の方は片手で体を、もう片手で肘もしくは膝を手で固定すると爪を切る時にぶれずに安全です。

爪切りに適した硬く平らな場所

ベッドの上など体勢が崩れやすい柔らかい場所は避けるべきでしょう。

硬く平らな場所が理想です。


また少しだけ高さを出してあげると助手の方が支えやすくなります。

高すぎると万一落下した際に足を痛めたり骨折したりする危険があるのでローテーブルなどがいいかもしれません。


もちろんできるようであれば床の上でも構いません。

後の掃除の手間を考えるとラグやカーペットは避けたほうが無難です。

爪切り

病院ではギロチン式の爪切りを使うことがほとんどだと思います。

慣れていればニッパー式でも構いません。


かなり巻いた爪であれば爪切り用ではなく工具用のニッパーがあると便利です。

爪切りアイテム

止血剤

必須ではありませんが、準備できればより安心です。

病院によりますが、止血剤を小分けして処方してもらえることがあります。

当院では小分けでお渡し可能です。

ヤスリ

細い棒状になっているものが好ましいです。

やすり

 

 

 

 

 


動物用のものは背側がつるつるになっているため安全にヤスリがけができます。

 

爪の切り方

白爪の切り方

利き手で爪切りを持ち、反対の手のひらで包むように肢を持ちます。

手の大きい方なら手のひらで手首や足首の関節ごと包めるとより安定します。


肢は親指の腹で肉球を押さえ、親指の先と人差し指で爪を切る指をつまみます。


この際に少しだけ人差し指を沈み込ませるとわんちゃんの指の関節が伸びて爪が見えやすくなります。

爪の出し方

 

 

 

 

 


次にまず爪を横から見てどこまで白い爪でどこからピンクの肉部分かを確認します。

確認できたら肉部分から最低2mmは白い爪を残すイメージでざっくり切りましょう。

そして残りの爪は野菜の乱切りのように少しずつ周囲から削いでいきます


そうすると自然に爪の中心部分がわずかに盛り上がるのが分かるので、そこの色合いを見ます。

粉っぽい白さがあるならまだいけます

甘栗の断面のようなしっとりとした色合いが出てきたらそこでストップです

 

爪の色

左に比べ右はまだ白い粉っぽさが分かります

 

 

 

 

 


狼爪も同様の切り方ですが、痛がったり嫌がったりすることが多いので他の爪より甘めに処理します。

黒爪の切り方

犬種や個体差により黒爪の子も多いです。

やり方は白爪の切り方と基本は同じですが、より繊細に処置する必要があります。


白爪では最初にざっくり切りにいきましたが、黒爪では肉部分までの長さを確認できませんのでいきなり削ぎ切りから入ります。

1本目の爪でだいたいの切れる長さが把握できれば2本目以降の爪ではざっくり切りにいっても構いません。


ただし、特にミニチュアダックスフントなど指先への体重のかかりが特殊な子では削れ方が内側の爪と外側の爪とで1-2mmほど差が出る場合もありますので注意してください。

巻き爪の切り方

巻き爪は爪切りがうまく入れられずに困ることが多いです。

その際は基本は工具のニッパーを使用します


ニッパーの刃の入れ方は肉部分より2mm以上先で通常の爪切りよりも長めに残します。

残った爪は切れるようであれば基本通りに削ぎ切りします。

それでも爪切りがうまく入らない場合はそこで終了するかヤスリがけで仕上げます。

ヤスリがけの仕方

基本は周囲部分のバリを処置します。

内側を処置する際は自分の指や爪などでわんちゃんの指先をカバーし皮膚をヤスリがけしないようにしましょう。


ヤスリで短くしていこうという作戦はおすすめしません。

仕上げのみに使ってください。

 

その他Tips

出血してしまった時の対処法

慌てずにティッシュや清潔なガーゼなど先を覆い爪先を横からつまむように軽く圧迫止血します。

もし止血剤があれば、少量を出血点に覆うように塗ります。

爪の出血は止まりにくいのと動いて再出血しやすいので数分かけて根気よく止血しましょう。

 

ティッシュやガーゼは止血した血のカサブタが取れないよう優しく剥がしましょう。

ごく稀な出血性疾患の持病がある子以外は爪からの出血で死ぬことはありませんのでご安心ください。


我々も「止まらない出血は無い」と思いながらいつも止血しています。

爪切りのコツ

一度に全部やり切る必要はありません。1本ずつ2本ずつやっていきましょう。


興奮時は暴れやすくなるのでなるべく避けましょう。

運動や遊びなどで疲れて少しうとうとしているくらいのタイミングだとやりやすくなります。


おやつやご褒美をあげながら行いましょう。

ただし、嫌がって中断したタイミングであげると余計に暴れるようになります。

あげるときは我慢している時もしくは我慢しきって処置を終えた時にしましょう。


爪を切る人の技術よりわんちゃんを支える人の技術のほうが重要であり難しくもあります。

Youtubeなどで動画をみて参考にしてください。

 

最後のまとめ

  • なるべく2人で実施する
  • 爪切りはギロチン式・ニッパー式の他に工具のニッパーや棒状のヤスリを準備すると◎
  • 爪は野菜の乱切りのように周囲から削ぎ切りする
  • 出血した際は慌てずに根気良く止血する


実際に練習してみたいというご希望があればどうぞ診察にお越しください。

 

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