院長の木村です。

 

本記事では猫のシステムトイレが猫にとって本当に良いトイレかについて解説していきます。

 

猫のシステムトイレってすごく便利ですよね。

 

商品説明には「1週間に1回シートを取り替えるだけでOK!」なんて書いてあったりします。

 

家族としては管理が楽でとても助かる製品です。

 

しかし、その便利さは猫にとって問題は無いのでしょうか?

 

飼っている猫がトイレをギリギリまで我慢して心配だったり、別の場所でもおしっこしてお困りの方はぜひ最後までお読みください。

結論

  • 猫に取ってシステムトイレは受け入れにくい製品
  • 人の利便性のために猫に負担を強いているものと認識しておく
  • 排尿に関してお困りなら昔ながらのトイレ設備を推奨

猫にとって排尿とは

野生の本能が色濃く残っている猫にとって、最中は無防備になる排尿行為は慎重にすべきものです。

 

ですので排泄行為(タイミング、場所など)には一定のこだわりを持つことが多いです。

 

また臭いが残っていることは自身の存在を外敵にアピールしてしまうので、排泄跡を神経質に隠す習性があります。

正常な排尿行動

まずは排尿場所の臭いを嗅ぎ、問題なければ穴を掘ってそこに排尿し、終わったら砂をかき集めて蓋をする。

そして静かに離れる。

 

これが猫の正常な排尿行動です。

 

これらの行動を満たせていない場合は泌尿器系のトラブルが有るかトイレ環境を嫌っている可能性があります。

不適切な排尿行動

トイレはちゃんと準備しているのにベッドや足拭きマットで排尿するなど不適切な排尿行動をする場合も同様です。

 

その場合は膀胱炎を含む泌尿器系トラブルの検査やトイレ環境の見直しが必要となるかもしれません。

 

ちなみに未去勢の雄が臭いオシッコを撒き散らす「スプレー行動」は正常な行動ですのでお間違いの無いようお願いします。

猫にとってのシステムトイレ

猫にとってのシステムトイレがどういうものか分かりやすく説明しましょう。

 

語弊を恐れずに言うなら工事現場の仮設トイレです。

仮設トイレ

 

システムトイレそのものや仮設トイレを批判するつもりはありませんので怒らないでくださいね。

 

システムトイレは人にとって利便性を高めた画期的なアイテムであることは間違いありません。

 

通常のトイレは交換が手間だったり砂が撒き散らされたりして、管理が大変なのは間違いないですからね。

猫への影響

多くの猫にとってシステムトイレはストレスがかかる可能性があります。

 

いくら消臭を謳っていたとしても、尿の臭いが消えるなんてことはありません。

 

それに猫の嗅覚は人の数倍どころか1万倍、10万倍なんて言われています。

 

間違いなく「自分のおしっこの臭いが充満しているトイレ」という感覚でしょう。

 

また、システムトイレの中にはフタで覆われていたり臭いが拡散しないような構造になっている製品も多くあります。

 

そういう製品であればなおさら仮設トイレを常に利用しているような気持ちになっているでしょう。

システムトイレの砂の良し悪し

猫によって好みはありますが、一般的に猫は吸水性が高く目の細かい砂を好みます。

 

対してシステムトイレで使用する砂は吸水せず尿が落ちていく硬く目が荒いチップが多いです。

 

完全に逆ですね。

 

神経質だったり繊細な猫にとって、システムトイレ用の砂はなるべく使用を避けたい材質と言えます。

システムトイレの総評

厳しい言い方をすれば、システムトイレとは人の利便性のために猫に負担を強いているものです。

 

飼っている環境上やオーナー様の生活上、システムトイレを頼らざるを得ないシーンがあることのも事実です。

 

しかし、猫を飼う上で「猫にとってシステムトイレは好ましくない」ことを常に頭の片隅に置いておく必要があります。

トイレトラブルが多いご家庭での注意点

猫がぎりぎりまで我慢して排尿する、あるいはトイレとは違うところに排尿するなどのトイレトラブルが多発する場合は以下の2つを考える必要があります。

 

  • 膀胱炎を始めとする泌尿器疾患
  • トイレや排尿環境を嫌っている

 

前者は動物病院に尿を持参して検査してもらったり、猫自身をレントゲンやエコー検査することで判断できます。

 

それでも目立った異常が見つからなかったら後者の可能性を考えなければいけません。

 

もしトイレや排尿環境に起因するトイレトラブルだと気づかなければ、大切な猫ちゃんに何度も無駄な検査や投薬をさせてしまうかもしれません。

 

システムトイレをお使いのご家庭でトイレトラブルが多い場合は、排尿環境について検討し直してもいいかもしれません。

まずトイレ環境の改善で試したいこと

システムトイレはそのまま設置しつつ、新しいトイレを導入してみましょう。

 

導入すべきトイレは昔ながらの猫用トイレで、しかも大きめのものがお勧めです。

 

猫砂には好みがありますが、まずは目が細かくて固まるタイプを選択しましょう。

 

また、猫砂はケチらずにたっぷりと使用することもポイントです。

 

猫が排泄をしたらなるべく細かく交換して、トイレを清潔に保ってあげることも重要です。

トイレ環境を変えてもトラブルが落ち着かない時は

詳細な治療方針に関しては、尿検査と各トイレ環境の詳細な聞き取りが必要になります。

 

トイレトラブルでお困りの際は尿を持参して一度動物病院を訪ねてみましょう!

 

 

たかつきユア動物病院(木曜・日曜・祝日休診 9:30-12:30、16:00-19:00)

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