院長の木村です。

 

 

突然ですがダイエットって本当に難しいですよね

 

私も35歳を過ぎてからお腹周りに肉がつき始めて、最近は散歩の運動習慣を付けるようにしています。

 

さて、わんちゃん猫ちゃんは食べるものがご家族の管理に依存しているのでダイエットが簡単と思いきやそうではないことを多くの方が実感(痛感)しているでしょう。

 

ご飯の量を減らしてもずっと物欲しそうな目で見つめられたり、ずっと空の器をぺろぺろ舐めていてついついあげちゃう…。

 

中にはお腹が空き過ぎてイライラし始めるとご家族の足を噛み出したりする子がいて、どうしようもなくご飯を追加してしまうケースもあります。

 

ダイエットに大事なことは無理なく続けること

 

本記事では、動物病院が提案する無理なく続けられるダイエット方法をまとめて紹介します。

 

何か一つでも参考になることがあれば幸いです。

 

では見ていきましょう❗

ダイエットの方法まとめ

  1. 太る病気が潜んでいないかを探す
  2. 運動習慣を付ける
  3. 頻回給与にする
  4. 食物繊維でカサましする
  5. 病院おすすめのダイエットフードに切り替える
  6. ダイエットサプリを使う

太る病気が潜んでいないかを探す

実はわんちゃんには「太る病気」があることをご存知ですか?

それは①クッシング症候群②甲状腺機能低下症です。

どちらも中高齢で発症しやすいホルモン病で、代謝に影響するホルモンの分泌が知らず知らずのうちに乱れることで起こります。

症状と診断方法は以下の通りです。

①-1 クッシング症候群の症状

  • 水を異様に飲んで薄いおしっこを沢山する(多飲多尿)

※体重1kgに対して水100ml/日以上をコンスタントに飲んでいると『多飲』と判断します。

  • お腹が張ってずっしりと感じる、中年太りのような体型
  • 手足や腰回り、背中の筋肉が痩せてきた
  • 食欲がすごい

①-2 クッシング症候群の診断

  • 一般的な血液検査:ここで異常が見つかれば特殊血液検査に進むことが多いです
  • 特殊血液検査(ACTH刺激試験)
  • 腹部超音波検査

②-1 甲状腺機能低下症の症状

  • よく眠りあまり動かないなど「歳を取った」印象がある
  • 顔つきに活力が無く悲しげにも見える
  • 体型にメリハリやくびれが無い
  • 毛が薄くなってきた

②-2 甲状腺機能低下症の診断

  • 一般的な血液検査
  • 特殊血液検査(甲状腺ホルモン測定)
  • 身体検査(特に心拍数、体温)

 

 

もし、ホルモン病であったらいくらダイエットしても効果がありません。

適切に診断して適切に治療することで体重や体型が徐々に正常化していきます。

太っているのは糖尿病の可能性もあるの??

いいえ、そうではありません。

 

肥満でイメージしやすい糖尿病ですが、「糖尿病が起きて太る」わけでは無く「肥満が続いた結果糖尿病が起きる」という順序ですので因果関係が全く逆です。

 

ただ、糖尿病は発症すると大変な病気ですので肥満の子は常に警戒する必要があります。

猫では太る病気は無いの??

先ほどのクッシング症候群や甲状腺機能低下症が起きないこともありませんが、かなり珍しい病気と言えるでしょう。

私の11年間の獣医師生活では共に数頭しか診察したことがありません。

 

猫ちゃんの病気で可能性があるとするならば、慢性関節炎です。

 

シニアの猫には我々が理解する以上に慢性関節炎が隠れていると言われています。

 

もし関節炎を持っていたら、食欲は変わらないけれど運動量が落ちるギャップで太ってしまうことがあります。

 

動きがぎこちない、跳べていた高さにジャンプできなくなった、寝ることが多くなったなどの症状があれば慢性関節炎を疑ってみてもいいかもしれません。

運動習慣を付ける

当たり前過ぎるお話かもしれませんが、運動面から再度できることがあるか確認してみましょう。

 

病気を除いて、太る原因は常に「摂取カロリー>代謝カロリー」となっていることです。

 

運動習慣を付けることは『代謝カロリー』を上げる効果が期待できます。

わんちゃんの運動習慣を付ける

日々の散歩の距離または回数を増やす

運動による消費カロリーアップと、筋肉がつくことでの基礎代謝アップが見込めます。

 

ただし、すでに肥満と指摘されている動物に高強度や長時間連続での運動をさせると関節にダメージが入ってしまいますので注意が必要です。

 

特に段差の上り下りは関節にとってかなり負荷をかけますのでさせないようにしましょう。

休日を利用して一緒に運動する

ご家族の休日にドッグランや河川敷でいっぱい遊ぶなど、強めの運動をするのもいいでしょう。

 

わんちゃんには運動欲求があり、特に元々狩猟犬や牧羊犬であった犬種ではそれなりの運動量を必要とします。

 

忙しい平日に高強度・長時間の運動をするのはご家族の負担にもなりますので、休日に「家族揃って運動する」という意識を持って過ごしてみてはいかがでしょうか。

 

強めの運動はカロリーの消費はもちろんのこと、運動欲求の解消やご家族とわんちゃんの絆を深めるなど副効用もいっぱいあります。

 

噛み癖や興奮癖、手持ち無沙汰でモノを破壊してしまうわんちゃんは運動欲求を解消してあげたら治まることもありますよ。

猫ちゃんの運動習慣を付ける

猫ちゃんはわんちゃんのように散歩を頑張るというのは難しいです。

※稀に散歩習慣のある猫ちゃんはいますがほとんどの子にはおすすめできません💦

 

ですので、基本的には家の中で運動するということになります。

 

元来猫というのは狩猟動物ですので、おもちゃで遊んで狩猟本能を刺激してあげることはとても健全なことです。

 

心も体も健康になるためにおもちゃ遊びを推進することはとても良いでしょう。

 

ただし一部のおもちゃ(特にネズミ型!)は誤食することがありますので、使う際は紐を括り付けるなど飲み込ませないような工夫が必要です。

 

他にはキャットタワーでの日常的な乗り降りも積み重ねれば運動効果が期待できます。

 

もしキャットタワーが無いご家庭で肥満に悩んでいるようであればぜひ導入を検討してみてください。

頻回給与にする

空腹感を減らす目的で、1日当たりのフード総量は変えず(もしくはやや抑えめにして)給与回数を増やす作戦も有りです。

 

ドライのドッグフード、キャットフードともに、胃内に入ってしばらくしてから胃液を吸って膨らみます。

 

空腹感あるいは満腹感には胃が広がる刺激が重要で、頻回給与によって胃が縮んでいる時間帯を少なくします。

 

特に急いで食べてしまうタイプの子では、十分に胃が広がる前に次のフードの催促をする傾向があります。

 

その場合は頻回給与に切り替えて、規定量を食べ終わったら胃内でフードが膨らむのを待ってみるといいでしょう。

食物繊維でカサましする

人のダイエットと同様に食物繊維でカサまししてあげることも大切です。

 

白菜、キャベツ、きゅうりなどが低カロリーかつ食物繊維豊富な野菜です。

 

ちなみに100gあたりのカロリーは白菜14.1kcal、キャベツ22.9kcalなのでどちらかというと白菜優先にしたほうがいいかもしれませんね。

 

これら野菜をしっかり刻んで小さくしてカサまし用にトッピングすると腹持ちが良くなります。

 

きゅうりはカリウムが豊富に含まれていますので、病気でカリウム制限がかかっている場合は避けてくださいね。

 

また猫ちゃんは完全な肉食動物ですので、残念ながら野菜作戦は栄養評価的に手放しではおすすめしにくい面があります。

 

当院でご提案している食物繊維は『サイリウム』です!

サイリウム

 

サイリウムはオオバコという植物の種皮のことで、人用ダイエットサプリの成分としても知られています。

 

サイリウムは摂取した後に胃液を吸って胃内で膨らみます。

それで満腹感を演出できるという訳ですね。

 

便通にも良いので、猫ちゃんで便秘がちな子には特におすすめです。

 

最近では画像のようにペット用サプリメントで販売され始めていますので、もしご興味があれば当院にお問い合わせください。

 

たかつきユア動物病院(木曜・日曜・祝日休診 9:30-12:30、16:00-19:00)

072-697-5505

support@takatsuki-your-ah.net

病院おすすめのダイエットフードに切り替える

どうしても空腹状態がなかなか耐えることのできない子にはダイエットの療法食を試してみるべきです。

 

飼い主様にもよく知られているヒルズ社の製品では犬猫ともに『w/d』がバランスの取れた良製品です。

 

もし限界までカロリーを落として食事量を増やしたいということでしたら『r/d』が最も優れています。

 

ただし、ヒルズ社製品はコロナ禍以降で供給が不安定になっていますのでその点はご理解ください。

 

当院で最もおすすめしたいダイエットフードはロイヤルカナン社の『満腹感サポート』シリーズです。

 

優れている点としては以下のことが挙げられます。

 

  • 他社のダイエット製品と比べても圧倒的なカロリーの低さ
  • 安定した供給性
  • 『満腹感サポート+◯◯』といったマルチファンクション製品が充実

 

特にマルチファンクション製品では空腹感でのイライラを抑える『+CLT』、尿石持ちにも使える『+ユリナリー』、食物アレルギーでも使える『+低分子プロテイン』がラインナップされており、使い勝手に優れています

※犬用製品と猫用製品ではラインナップが違いますのでご注意ください

 

こちらの製品は完全病院専用製品(本来は他の療法食もそうなんですけどね…)となりますので、試してみたいという方は当院へお申し出ください。

ダイエットサプリを使う

色々試したいけどそれでも痩せない、あるいはどうしても事情でフード管理が難しい子にはダイエットサプリをおすすめします。

 

現状で病院専用として製造されているサプリは、『EneALA』または『グラボノイド』です。

 

当院では、ダイエット以外にも様々な有効性が期待されている『EneALA』をご提案させていただいております。

EneALA

 

人用では有効成分である5-ALAが話題となり各メーカーが次々に発売し始めておりますが、その中でも先駆者ともいえるネオファーマジャパン株式会社様が製造されているEneALAは品質に間違いがありません。

 

もちろん、これさえ飲めば食べさせ放題なんて魔法のサプリではありませんのでなるべく並行してフード管理をしてくださいね。

 

こちらもご興味がある方はどうぞお問い合わせください。

 

たかつきユア動物病院(木曜・日曜・祝日休診 9:30-12:30、16:00-19:00)

072-697-5505

support@takatsuki-your-ah.net

最後に

いかがだったでしょうか。

 

もしまだ試していないことがあればぜひ色々ダイエットにチャレンジしてみてください!

 

繰り返しますが、大事なのは無理なく続けることです

 

無理させると動物たちよりもご家族のうち誰かの心が先に折れてしまいますからね。

 

ご存知の通り、肥満は万病の元です。

 

関節だけではなく、心臓・皮膚・血管・糖尿病…本当に色々なところに悪影響が出てしまいます。

 

大切な我が子の健やかな未来のために、できることから試していきましょう!

 

もし獣医師に相談してみたいということであれば遠慮なく外来を受診してください。

 

ダイエットも立派な病気予防法ですからね。

 

しっかりと診察させていただきます。