院長の木村です。

健康診断については以前にいくつか記事をあげさせていただきました。

 

健康診断を実施する理由のひとつとして、よく皆様にご説明することがあります。


それは「健康な今の状態での記録をする」ということです。


血液検査やレントゲン検査やエコー検査など、それぞれが一般的な正常値・正常な見え方という基準はあります。
しかし、あくまで基準であり全ての動物に当てはまる訳ではないのがポイントです。


健康診断は多くの動物たちが体調に問題ない状態で受けます。
そこで検査をすることによって、「この子は元々腎臓が大きめの子なんだな」「この子はいつも血糖値が高めに出るな」など動物自身の基準を記録することができます。


そして、いざ体調が悪い時に同じ項目を検査することによって以前の記録として比較することが可能になります。

 

 

 

 

 

 

 

 


写真は、とある患者さんの健康診断(4/23)と病気時(5/12)の白血球数の比較です。

元々この子は白血球数が通常よりも低めなのですが、比較すると3倍以上に数値が上昇しているのが分かります。

ただ、もし前回のデータがなかったら??

病気時(5/12)の白血球数は「一般的な正常値」ですので強い炎症に気づかなかった可能性があります。

今回は白血球数の異常上昇を重くみて精査し、幸いにも病気の発見としっかりとした治療に結びつけられました。

前回のデータが無かった場合は無難な治療で様子見から始めていたかもしれません。

この異常上昇を根拠に積極的な検査と治療を展開できたことは間違いがありません。


このように健康診断は隠れている病気の発見のみならずデータの蓄積という観点からもとても大切なものです。


ぜひ1年に1回は健康診断を受診しましょう。