院長の木村です。

 

今回は自宅のデンタルケアについての画期的な方法のお話です。

拭いても取れない、すぐついてしまう歯の汚れにお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。

 

 

さて、この半年で当院では12件の麻酔下でのスケーリング(専用器具を使った歯石除去)を実施させていただきました。

 

スケーリングを実施したその後も診察時に歯のチェックをしているのですが、見ているとどうしてもやはり時間とともに汚れがついてきてしまっています

 

具体的な汚れやすい箇所は下の画像をご覧ください。

 

食渣が詰まりやすい箇所

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画像は歯石を除去した状態で撮影していますが、それまでの炎症で歯肉が下がってしまっていることが分かります。

 

この下がった歯肉と歯根との隙間(赤丸)が凸凹していて、食べカスが詰まりやすくなっているんですね。

 

磨いた歯の表面は綺麗なのにこの部分だけ汚れている子が多く見受けられます。

この汚れは歯周病菌の温床になるので、放っておくとここから歯周病が再発してしまいます

 

これは正直言って、歯磨きを頑張ったら無くせるものではないと思っています。

 

歯ブラシで下から上に丁寧に掻き出すように磨いてあげたら確かに汚れは取れるでしょう。

ただ、その細やかな作業をしている間に、果たして動物たちがまったく動かないまま我慢してくれるでしょうか。

 

歯磨きにとても慣れている子であれば1分間ピクリともせず受け入れてくれるでしょうが、それが簡単にできたら苦労はしません。

 

どうしても途中で嫌がったり口を閉じたりするでしょう。

 

そういう中で頑張っていると、汚れが取れないばかりか歯ブラシが汚れを歯周ポケットに押し込んでしまう恐れさえあります。

 

このめんどくさい汚れを、自宅でも簡単にできる方法でどうにかならないかと最近ずっと考えていました。

 

そして先日ある猫ちゃんで考案した新しい方法を試させていただいたところ驚くほど汚れが取れましたので共有したいと思います。

 

その方法とはズバリ、水圧で落とす」ということです。

 

具体的には「水道水を入れた注射器から水を射出して、あたかも高圧洗浄機のように汚れを水流で落とす」という作戦です。

 

下の画像は使用器具です。

 

水圧で落とす

白飛びしててすみません

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注射器の中に入っているのはただの水道水です。

注射器の先には通常、静脈ルートを確保する器具の柔らかいプラスチック部分をつけています。

 

先端は細くなっているので、注射器を押すと勢いよく水を射出できるという寸法です。

 

これを汚れに狙いをつけてリズミカルに打ち出します。

その水圧で汚れは隙間の外に吹き飛びます。

 

 

自分でいうのもなんですが、これは非常に画期的な方法だと思っています

今後自分自身でも色々試していき皆様のお役に立てるようやり方をアップデートしていくつもりです。

 

 

イメージはウォーターピックですね。リンク先に動画がありますのでご覧ください。

手動ですが原理は一緒です。

 

試してみたいという方は注射器と先のチップが処方可能ですのでお申し出ください。

※注射器を使わなくても身近なグッズで代用できそうな気はするので、代用品を思いついたらまた追記しておきます。

 

病院内で体験してみたいという方はどうぞお気軽に受診ください。

 

追記)まだ試していただいた動物は少ないですが、自宅では難しい子はいます。

そんな子は一度病院で体験してはいかがでしょうか。

 

以下は注意事項です。試される際は必ず読んでいただき十分注意した上で実施してください

 

・この洗浄法は2人1組での実施をおすすめします。1人では腕が足りません。

 

・先のチップは柔らかいプラスチックチューブではありますが、それでも眼に当たらないように必ず顔から5cm以上離してください

 

・先のチップ自体が水圧で飛ばないよう、しっかりと注射器に装着してください。

 

・汚れを含んだ水が床に落ちますので、フローリング上や風呂場で行うかもしくは下にペットシーツを敷くことをおすすめします。

 

・動物の鼻先を上に向けながら洗浄すると汚れを含んだ水が気道に入る恐れがありますので、必ず顔を真横もしくは下に向けた状態で実施してください

 

・使った器具は毎回洗浄してください。そのままにしておくと器具内に歯周病菌が繁殖する恐れがあります。

 

歯石や歯の着色は残念ながら落とせません。あくまで膿や食べカス汚れなど柔らかいものを落とす方法としてお試しください。

 

・歯肉から出血が見られる、動物が痛がるなどの様子が見られたら無理せず中止してください。

 

・歯磨きを含めたその他のデンタルケアも大切ですので、継続可能であれば本洗浄法と併用してください。

 

・奥歯を露出する方法は下の画像を参考にしてください。この画像では粘膜まで反転させてしまっていますが、表の頬を指の腹で2時と4時方向に引っ張るイメージです。

 

口を開ける

 

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