院長の木村です。

 

多くの方は自宅で爪切りをしているか、1回はチャレンジした経験をお持ちではないでしょうか。

そして大なり小なり出血したこともあろうかと思います。

 

自宅で出血した時に、どうやって対応すればいいのでしょうか。

たった今、爪から血が出てしまって焦って調べているあなたにピンポイントでお伝えします。

 

手順1:まず最初に止血

当たり前ですよね。

でもその前に焦ると手がブレたり犬に緊張感が伝わって興奮するので1回だけ深呼吸をしましょう。

大丈夫です。その血は必ず止まります。

 

さて、まず清潔なガーゼか無ければティッシュ(以降は便宜上ガーゼとします)を2−3枚準備してください。

出血が多ければそのまま使用、出血が少なめならわずかにだけ水道水で湿らせて(ガーゼなら硬く絞って)使うと後ほど剥がしやすいです。

 

患部やその周りの血は今は洗わなくていいです。床に落ちてても無視。

1人なら床に座って抱き抱えながら(足に挟んで仰向けでもいいです)ガーゼを優しく患部に当てがってください。

 

2人なら1人が支えてもう1人が圧迫役に分かれると作業しやすいでしょう。

支え役がいる場合は、出血している手足の肘もしくは膝あたりを持ってあげると圧迫役の方が楽です。

 

ガーゼは、薄ければ2つ折りするか2枚使ってください。

 

止血剤がもし手元にあるならば話は簡単です。

 

血を軽く拭ってそれを患部を覆う程度に1−2回出血程度を見ながらつけてください。

揚げ物にパン粉つけてはたくような要領です。

 

多少沁みるのはしょうがないです。

 

 

さて、たいがいのご家庭には止血剤がないので次にいきましょう。

 

可能であれば爪の切断面にガーゼを当てつつ爪を横から指の腹で優しく圧迫してください。

圧迫の強さは自分の皮膚で試した時に「押されているな」と辛うじて分かるくらいで大丈夫です。

 

痛がったり嫌がって横からの圧迫が難しければ切断面のガーゼを同様に押し当てるだけでもいいです。

これも嫌がるならたっぷりのガーゼでふんわりさせてから押し当ててください。

 

これでも無理だったり出血した爪がよく分からない場合は、ふんわりガーゼを全体的に爪先に押し当ててください。

 

さて、首尾よくガーゼで圧迫できたら後はひたすら待ちです。

最低3分待ってください。

その間わんちゃんが動こうとしても何とか止めてください。

 

3分たったら、真新しいカサブタをめくるようにゆっくりガーゼを外してください。

止まっていたら一旦終了です。手順2に進んでください。

 

全然出血が止まる気配がなければ次は5分いってみましょう。

最初よりマシだけどまだじわっと出るくらいなら3分追加です。

 

充てがうのは同じガーゼの血がついているところでいいです。

※乾燥したガーゼは止血成分も吸い取るので止まりにくいです

 

5分経っても全く止まらないならもう一度横からの圧迫を5分試してみてください。

わんちゃんを撫でたりして大人しくさせるのも手です。

 

横からの圧迫を適切にしても全然止まらない場合はよっぽど根本から切ったか出血系の病気が隠れています

まずかかりつけ医か夜間動物病院に電話しましょう。

 

手順2:止血直後の処置

と、いっても正直あまりありません。

 

以前に傷や骨折の治療等で包帯の経験があれば、ふんわりガーゼで足先を包みながら包帯していただいても大丈夫です。

包帯がなければ犬用靴下などを代用してもらっても構いません。

 

どちらかというと、せっかくできたカサブタが剥がれないように運動制限をかけるほうが大事です。

 

キャリーやケージ、クレートがあればたっぷり1時間程度入れてしまいましょう。

そこまで待てば、爪先の止血はかなり安定します。

 

再出血したかどうかはシーツを敷いておけばすぐ分かります。

再出血したら手順1に戻ってください。

その時にはだいぶ止血が簡単になっているはずです。

 

ちなみにこの段階ではまだ洗わなくていいです。

 

手順3:最終止血確認

1時間たったら出血していないことを確認してフリーにしましょう。

包帯をした方はこの時点もしくは最長+2時間程度で巻きものを外してください。

 

血で汚れていたら、この段階で水道水で洗ってください

シャワーを使うと早いかもしれません。

 

ただし、痛がりますので爪先はゴシゴシしないでください。

 

悩みポイント:病院へ行ったほうがいい?

止血できたら一旦自宅で様子見してもOKです。

 

ただし、患部の手足を挙げたりびっこを引いたり、しつこく舐めたりする場合は痛がっていますので病院を受診して痛み止めを処方してもらいましょう。

 

抗生剤は数日念のため使うことが多いですが、患部の清潔を保てるなら理屈上は要りません。

 

血の汚れが取り切れていない場合は時間を置いて1−2回水道水洗浄を追加しましょう。

 

散歩は足が汚れて患部が菌感染する可能性が高いので2−3日はNGです。

どうしても行く必要があれば、患部を保護した状態で行くか帰ったあと必ず患部を洗浄しましょう。

 

気にして舐めるようなら最初はエリザベスカラーをしたほうが無難です。

エリザベスカラーが無い場合は最低1−2時間は舐めないようになるべく誰かが見ていましょう。

 

悩みポイント:自宅の消毒剤や薬を使ったほうがいい?

基本的に要りません。

マキロンを使われる方も多いですが、水道水での十分な洗浄があれば菌感染は防げます。

 

病院で最近処方された消毒液やゲンタシン軟膏がある場合は使ってもらっても構いませんが、使う際はなるべくかかりつけ医に電話などで確認をしてください。

 

人用の痛み止めの使用は中毒を起こしますので絶対に止めてください

悩みポイント:どうやって治ったと判断する?

切断面が乾燥したら治ってきていると思って大丈夫です。

逆にじゅくつきや膿がある場合はどこかから菌感染した可能性があるので速やかに病院を受診してください

 

手足の挙上やびっこがあった場合は、着地して体重をかけ始めている段階で回復傾向と判断できます。

トータル1週間ほどすれば傷口も安定化し、膿む危険性や痛みもほとんど無くなります。

悩みポイント:出血させてしまったら次回以降は自宅でやらないほうがいい?

わんちゃんの様子次第です。

 

痛みでトラウマ化して爪切りしようとすると暴れ出すレベルなら病院やサロンにお願いしたほうが無難です。

 

そこまででなければおやつなどをあげながら再チャレンジしていただいても大丈夫です。

その際はぜひ下記記事を参考にして爪切りをしてみてください。

 

【獣医師監修】犬の爪切りの方法を出血時の対応やコツも含めて解説【初心者向け】