院長の木村です。
本記事では「犬の震え」について取り上げてみようと思います。
おうちのわんちゃんが急に震え始めたら焦ってしますよね。
動物病院に連れていくべきか、まず様子見からするべきか…。
記事では震えが起きる原因と考えられる病気、それに病院にすぐ連れていくべきかについてなるべく専門用語無しで分かりやすく解説します。
今、目の前でわんちゃんが震えていて焦って調べている方もいらっしゃるでしょうからやや短めにまとめますね。
結論
+α(動かない、吐いている、呼吸が荒いなど)の症状が出ていたらただちに連れていくべき
夜間であっても、場合によっては救急病院の受診も考えてください
犬の震えの原因
まず震えの原因についておさらいしましょう。
犬の震えは主に以下のような原因で起きます。
- 恐怖(生理現象)
- 寒さ(生理現象)
- 老化(生理現象)
- 痛み(病気の可能性あり)
- 発熱(病気の可能性あり)
- 発作(病気の可能性あり)
- 中毒(病気の可能性あり)
生理現象
生理現象による震えは以下の通りです。
- 恐怖
- 寒さ
- 老化
恐怖、寒さ
恐怖や寒さはイメージしやすいですね。
知らない人が苦手な犬が来客によって震え始める、冬に室温が寒くて震え始めるといった症状は生理現象です。
もちろん体へのストレスはかかっていますので、その原因を考えて取り除けるものであれば取り除いてあげましょう。
動きそのものは軽快で、周りをしっかり見渡したり視線で警戒できているのがこれらの特徴です。
老化
老化というのは詳しく言うと筋力低下です。
シニア(7歳以上)やハイシニア(10歳以上)で、足腰が弱くなってくると体重を支える手足の筋肉が疲労して震え始めます。
我々も筋トレとか体幹トレーニングをして疲れてくると手や足がプルプルしてきますよね。
あれと同じ現象です。
老化現象による震えも獣医にご相談いただければと思いますが、少なくとも「早急に連れて行かなくちゃ」というものではありません。
ちなみに老化による震えには以下の対策ができます。
- 太っているようであれば痩せる
- フローリングに滑り止めマットを敷く
- 足裏の毛をカットする
- 肉球を保湿する
- 手足の屈伸などリハビリをする
- 関節の負担を考えながら低負荷の運動を増やす
- サプリメントを使う
もしサプリメントについてご興味がある方は当院へご相談ください。
たかつきユア動物病院(木曜・日曜・祝日休診 9:30-12:30、16:00-19:00)
病気の可能性あり
問題なのは病気の可能性です。
ここを見誤ると、病気が重大なステップに進行してしまう恐れがあります。
病気の可能性があるのは以下の原因による震えです。
- 痛み
- 発熱
- 発作
- 中毒
痛み
痛みによる震えを疑う場合は、まず動き方を観察してください。
手足を引きずったり、挙げたり、かばうように歩いたり…
全然動かないという場合でも痛みによる震えの可能性が十分考えられます。
特に「後ろ足を完全に挙げる」症状では靭帯損傷の恐れがありますので、1両日中には病院を受診したいところです。
次にどこかを触ったりちょっと動いた拍子に鳴く、威嚇するかを確認してください。
その子の性格にもよりますが、こういった症状が見受けられる場合は中程度以上の痛みがどこかに隠れています。
こういった場合はなるべく早期に動物病院を受診すべきです。
特に痛み以外に「ぐったりしている」、「嘔吐している」、「息が荒い」、「血便をしている」、「お腹が張っている」、「フラついている」などの症状がある場合は、早急な受診が必要です。
午前中に見つけたら遅くとも午後診察には、夜間で見つけたらできれば夜間救急動物病院の受診も検討すべきです。
記事の一番最後に夜間救急動物病院の案内を載せておきますので、必要な方は下まで一気にスクロールしてください。
発熱
体を触ったらいつもより熱っぽさを感じたら発熱を疑ってください。
特に犬は耳から放熱しやすいので、耳に熱がこもっている感覚があれば体幹温度は普通でも発熱と判断します。
我々が発熱の原因としてイメージしやすい感染症ですが、それ以外にも内臓の炎症・腫瘍・免疫病など多くの病気が発熱を伴います。
発熱は原因の程度がどうあれ基本的にぐったりし始めるので、どれくらいのスピード感で病院に連れて行くべきかは迷うところです。
少なくとも目がぼんやりしていたり、呼びかけにもリアクションが薄いぐったり感があればなるべくすぐ受診しましょう。
熱中症を疑う場合は即座に濡れバスタオルで包んでエアコンを当てるなどして体を冷やし、すぐに病院に連絡を取りましょう。
発作
実は発作(てんかん)であっても震えが起きることがあります。
白目を剥いてビクンビクンする発作以外にも、様子自体は普通に見える発作もありますので注意してください。
妙なフラつき、ピクつき、過剰興奮、徘徊行動、歯鳴り、衝動的な攻撃性などが見られ、呼びかけへの反応が乏しいようであれば発作による震えを考えましょう。
発作を疑う場合はまず様子を観察(できたらスマホで動画撮影)することから始めてください。
もし、本格的な痙攣が始まったようであれば最長3-4分は観察を続け、それ以上の時間続くようであれば即座の病院受診を検討してください。
例外として、子犬や極度に痩せている犬、肝不全と診断されている犬が痙攣を起こすようであれば低血糖性の発作を疑ってください。
その場合はすぐさまガムシロップを投与したり歯茎に塗ったり、ただちに病院を受診するなど緊急対応が必要になります。
中毒
ある種の中毒物質の摂取により神経症状としての震えを起こす場合があります。
誤食癖や物を荒らしがちなタイプの犬であれば、中毒の可能性を考えてどこかに荒らされた形跡が無いかを確認してください。
誤食による震えの可能性がある場合はただちに病院を受診する必要があります。
最後に
一口に『震え』といっても、その原因は様々です。
特に注意したいのは、緊急疾患の可能性を疑うのであれば様子見しないことです。
その為には動物の様子をよく観察して、”強い症状”があれば躊躇わず病院を受診してください。
動物病院や獣医師は、連れてきていただいた結果大したことなくてもあなたを笑ったりなんて決してしません。
本記事の内容があなたの判断に少しでも役立てたら光栄です。
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