院長の木村です。

 

飼っているわんちゃんねこちゃんのお尻が汚れた時や、定期的なケアでお尻を拭いたら血がついたことはありませんか?

 

特に「オスなのに陰部から出血?!」と心配になる方も多いと思います。

 

 

本記事では犬猫のお尻から出血した場合に、どんな病気が考えられてどういう治療があるかをまとめます。

 

犬と猫では身体の構造が異なりますので、分けて解説します。

 

該当しない部分は読み飛ばしてもらって大丈夫ですよ。

 

では順に見ていきましょう!

結論

犬の出血

正常な出血:生理出血

異常な出血

  1. 肛門腺炎
  2. 大腸炎
  3. 膀胱炎(稀に腎臓からの出血)
  4. 子宮蓄膿症
  5. 膣炎
  6. 肛門周囲腺腫、肛門嚢腺癌
  7. 皮膚炎や皮膚腫瘤

猫の出血

正常な出血:なし

異常な出血

  1. 肛門腺炎
  2. 大腸炎
  3. 膀胱炎(稀に腎臓からの出血)
  4. 子宮蓄膿症
  5. 包皮炎、膣炎
  6. 肛門嚢腺癌

【犬】お尻(陰部)からの出血

正常な出血

未避妊のメスでは、生理(発情)による出血が起きます。

 

出血期間は個体差が大きいですが、1-3週間程度続きます。

 

ただし、元々出血量が少なく自分で舐めとる子も多いので「生理出血が無い=異常」とは限りません。

 

生理出血に治療の必要はありません。

 

ただし、二次的な病気発生を防ぐためにおむつはなるべく着用しないか、こまめな交換を心がけましょう。

異常な出血

オスや避妊済のメスで出血があった場合は全て異常出血と考えましょう。

 

1.肛門腺炎

 

犬猫とも肛門周りの皮下に肛門腺(臭腺、臭い袋)が一対あります。

 

この肛門腺が菌感染などで炎症を起こした場合に、分泌物とともに出血が付く場合があります。

 

肛門周りを触って痛がるようであれば肛門腺炎の可能性が高いので、なるべく早く動物病院を受診しましょう。

 

肛門腺炎の場合は抗生物質単独で、破裂まで進行している場合は洗浄通院をしながら治療します。

 

2.大腸炎

 

下痢や軟便、便しぶりといった症状を伴う場合は、大腸炎による粘膜出血の可能性があります。

 

一般に大腸炎による出血は鮮血で思わずギョッとしますが、速やかに治りやすいのが特徴です。

 

ただし、出血が連続したり嫌な臭いを伴う場合はやはり早めの受診をお勧めします。

 

大腸炎が起きる病気は様々ありますので、基礎疾患探しをしたりまず整腸治療から始めたりと治療方針は様々です。

 

便検査は必須となりますので、なるべく新鮮便を病院に持っていきましょう。

 

3.膀胱炎(稀に腎臓からの出血)

 

メスのみ膀胱炎の可能性があります。

 

程度にもよりますが、出血が尿で薄まるため基本的にはピンク色であるのが特徴です。

 

ただし膀胱を絞り切った最後の1滴は真っ赤なこともあります。

 

尿しぶりや頻回少量の排尿をするようであれば膀胱炎を第一に疑います。

 

採取できるようであれば尿検査を実施して、抗生物質やフード変更など原因に合わせた治療を行います。

 

ただしメスで膀胱が空の場合は尿検査ができませんので、少量でも家で尿を採取して持っていきましょう。

 

同じ尿しぶりであっても全く尿を出せない症状は尿道閉塞という緊急事態の可能性があります。

 

その場合は夜間動物病院も含め、速やかな受診を考えましょう。

 

原因次第で治療は変わりますが、場合によっては緊急手術も含めて考える必要があります。

 

 

4.子宮蓄膿症

避妊していないメスで陰部に出血が見られる場合は要注意です。

 

生理出血の可能性もありますが、常に子宮蓄膿症の可能性を考えておくべきです。

 

なぜなら、子宮蓄膿症を見逃して様子見をすると命に関わりかねないからです。

 

特に大量出血、嫌な臭いの伴う出血、膿っぽい出血、+元気が無い等の場合は緊急事態と判断しましょう。

 

子宮蓄膿症を疑う場合は、原則は緊急手術の方向で考えます。

 

どうしても手術ができない事情がある場合は、抗生物質と点滴にて様子見することもあります。

 

 

5.膣炎

 

メスであれば避妊の有無に限らず膣炎が起きる場合があります。

 

肛門ではなく陰部からドロッとした出血や粘膜・膿を伴う出血が見られた場合は膣炎も考慮に入れます。

 

膣炎を疑う場合は洗浄や抗生物質の投与(あるいは両方)にて治療します。

 

6.肛門周囲腺腫、肛門嚢腺癌

 

肛門腺を含めた分泌腺がいわゆる「腫瘍化」した病気です。

 

オスメスで出やすい出にくいの違いはありますが、どちらでも発生し得えます。

 

肛門周りにしこりがあったり、触ってコリコリするものがあるようであればこれらの病気を疑います。

 

腺癌を疑ったり、腺腫であっても大きい場合は切除手術を考えます。

 

未去勢のオスでは同時に去勢の実施も検討します。

 

7.皮膚炎や皮膚腫瘤

 

肛門周囲はアレルギー性皮膚炎を起こしやすい場所です。

 

その為、皮膚炎を起こしやすい犬では痒みでお尻を地面で擦ったり執拗に舐めることで出血する場合があります。

 

皮膚炎による出血であれば、患部を消毒しながら根本原因である痒みを抑えにいきます。

 

また、肛門や陰部周りにたまたま皮膚腫瘤(しこり、おでき)ができる場合もあります。

 

そういった皮膚腫瘤は通常の皮膚と比べ裂けやすいため出血リスクも高くなります。

 

状況にもよりますが、必要と判断したら切除手術も検討します。

【猫だけ】お尻(陰部)からの出血

正常な出血

ありません。

 

猫は人や犬と違って「交尾排卵動物」ですので、そもそも生理の仕組みが違います。

 

何か出血を見つけた場合は「おかしい」と判断しましょう。

異常な出血

1.肛門腺炎

 

犬猫とも肛門周りの皮下に肛門腺(臭腺、臭い袋)が一対あります。

 

この肛門腺が菌感染などで炎症を起こした場合に、分泌物とともに出血が付く場合があります。

 

肛門周りを触って痛がるようであれば肛門腺炎の可能性が高いので、なるべく早く動物病院を受診しましょう。

 

肛門腺炎の場合は抗生物質単独で、破裂まで進行している場合は洗浄通院をしながら治療します。

 

2.大腸炎

 

下痢や軟便、便しぶりといった症状を伴う場合は、大腸炎による粘膜出血の可能性があります。

 

一般に大腸炎による出血は鮮血で思わずギョッとしますが、速やかに治りやすいのが特徴です。

 

ただし、出血が連続したり嫌な臭いを伴う場合はやはり早めの受診をお勧めします。

 

 

大腸炎が起きる病気は様々ありますので、基礎疾患探しをしたりまず整腸治療から始めたりと治療方針は様々です。

 

便検査は必須となりますので、なるべく新鮮便を病院に持っていきましょう。

 

3.膀胱炎(稀に腎臓からの出血)

 

オスメスともに膀胱炎の可能性があります。

 

程度にもよりますが、出血が尿で薄まるため基本的にはピンク色であるのが特徴です。

 

ただし膀胱を絞り切った最後の1滴は真っ赤であることもあります。

 

尿しぶりや頻回少量の排尿をするようであれば膀胱炎を第一に疑います。

 

採取できるようであれば尿検査を実施して、抗生物質やフード変更など原因に合わせた治療を行います。

 

ただしメスで膀胱が空の場合は尿検査ができませんので、少量でも家で尿を採取して持っていきましょう。

 

同じ尿しぶりであっても全く尿を出せない症状は尿道閉塞という緊急事態の可能性があります。

 

その場合は夜間動物病院も含め、速やかな受診を考えましょう。

 

原因次第で治療は変わりますが、場合によっては緊急手術も含めて考える必要があります。

 

4.子宮蓄膿症

 

避妊していないメスで陰部に出血が見られる場合は要注意です。

 

なぜなら、子宮蓄膿症を見逃して様子見をすると命に関わりかねないからです。

 

特に大量出血、嫌な臭いの伴う出血、膿っぽい出血、+元気が無い等の場合は緊急事態と判断しましょう。

 

子宮蓄膿症を疑う場合は、原則は緊急手術の方向で考えます。

 

どうしても手術ができない事情がある場合は、抗生物質と点滴にて様子見することもあります。

 

5.包皮炎、膣炎

 

猫が患部を舐めたり噛んだりして包皮炎や膣炎が起きる場合があります。

 

肛門ではなく陰部からドロッとした出血や粘膜・膿を伴う出血が見られた場合は包皮炎や膣炎も考慮に入れます。

 

膣炎を疑う場合は洗浄や抗生物質の投与(あるいは両方)にて治療します。

 

6.肛門嚢腺癌

 

肛門腺がいわゆる「腫瘍化」した病気です。

 

犬と違って猫では発生はかなり稀です。

 

肛門周りにしこりがあったり、触ってコリコリするものがあるようであればこれらの病気を疑います。

 

腺癌を疑う場合は切除手術を含めて治療方針を決定します。

最後に

いかがだったでしょうか?

 

お尻(陰部)からの出血にも様々な原因・バリエーションがあることが知って頂けたと思います。

 

生理出血以外での出血は基本的に治療対象となります。

 

特に未避妊メスの出血と排尿障害を伴う出血は緊急事態の可能性がありますので十分注意してみてくださいね。